円形脱毛症
発症原因
円形脱毛症は主に自己免疫機能の異常が原因で発症する症状です。本来は外部から侵入した異物を排除する役割を担っている免疫機能に異常が発生して、人間の細胞を攻撃することが原因で抜け毛や薄毛が進行します。そこに不規則な生活や乱れた食生活などの副次的な要因が加わることで抜け毛や薄毛が悪化する可能性が高くなります。
そして円形脱毛症の発症や悪化に関わる自己免疫疾患は女性に起こりやすい症状なので、円形脱毛症はとくに女性が発症しやすい症状だといわれています。また、円形脱毛症のおよそ3割に遺伝的要素が関わっているとも指摘されており、家族に円形脱毛症の発症者がいる方は円形脱毛症を発症する可能性が高まります。
症状
円形脱毛症を発症すると「脱毛斑」と呼ばれる部分的な脱毛が起きます。「10円ハゲ」などと言われるように、基本的に10円玉や500円玉ほどの大きさの境い目がハッキリした脱毛症状が現れます。
また他の脱毛症状は分け目の薄毛や抜け毛が進行したり、生え際が後退するなど発症部位が限られていますが、円形脱毛症はどこにでも発症します。そして円形脱毛症は、脱毛斑の数や範囲ごとに以下のタイプに分類されます。
単発型
円形脱毛症のなかでも最も多い症状です。10円玉サイズや500円玉サイズの脱毛が一箇所から数か所できる症状です。サイズが小さい場合は、発症に気づくまえに自然に回復している場合もあります。
多発型
脱毛斑が二箇所以上あり、さらに何度も発症を繰り返す症状です。
蛇行型
後頭部から側頭部にかけて、蛇が這った跡のような帯状の脱毛が起きる症状です。
全頭型
多発型の円形脱毛症が頭部全体に広まって、髪の毛がほとんど失われる症状です。
汎発型
髪の毛だけに限らず、眉毛やまつげなど、全身の体毛がすべて失われる円形脱毛症のなかでも最も重度の症状です。
円形脱毛症の対策方法
病院で治療を受ける
円形脱毛症による抜け毛や薄毛は、症状が軽い場合は自然に回復します。しかし、症状が重い場合には病院やクリニックなどの皮膚科で治療を受ける必要があります。病院やクリニックでは主にステロイド内服や抗ヒスタミン剤といった内服薬や、塩化カルプロニウム外用薬やステロイド外用薬などの外用薬を使った治療が行われます。
また、免疫機能を抑制する効果を持ったステロイドを注射器で直接脱毛斑に注入する「ステロイド局所注射」によっても、円形脱毛症の症状を改善する高い効果が得られます。そして全頭型や汎発型などの重い症状は治療に長い期間が必要なので、医療器具としてかつら(ウィッグ)が使用されます。
育毛剤
市販の育毛剤には分け目の薄毛や抜け毛などを改善する効果がありますが、その大半は円形脱毛症の改善にはあまり高い効果を発揮しません。しかし、ツヅラフジ科のタマサキツヅラフジから抽出したセファランチンという育毛成分が配合された育毛剤は、円形脱毛症による抜け毛や薄毛などの症状を改善する効果を発揮します。
セファランチンには、頭皮の血行促進に加えて円形脱毛症の発症原因のひとつであるアレルギーを抑制する抗アレルギー作用があるため、円形脱毛症の改善に有効な育毛成分として利用されています。
頭皮の血行促進
頭皮の血行を促進することで、軽度の円形脱毛症なら自然回復を促す効果が得られます。頭皮の血行は以下の方法によって促進できます。
頭皮マッサージ
両手を使って固くなった頭皮を揉みほぐすことで、頭皮の血行を促進できます。しかし、女性は爪を伸ばしている場合が多いので、指を立ててマッサージをすると爪で頭皮を傷つけるおそれがあります。したがって頭皮マッサージは柔らかい指の腹の部分をつかって行うことが大切です。
入浴
お風呂に浸かって身体を温めることで頭皮の血行を促進できます。長時間浸かるほうが高い効果を得られるので、40度以下のぬるいお風呂にゆっくり浸かることが効果的です。
適度な運動
下半身の筋肉には血液の循環を促すポンプの役割があります。したがって、ジョギングやウォーキングなどを行うことで頭皮の血行を促進する効果が得られます。ただし、激しい運動を行うと体内の活性酸素が増加して髪の毛や頭皮に悪影響を及ぼすので、軽めの運動で済ませることが大切です。